繁殖ボランティアさんから付けてもらったエレナという名前の由来は、「エレーナのインコ」という絵本から。
心が優しく、困難を自分の力でのりこえて行く主人公エレーナのように育ってほしい、という願いが込められています。

2013年9月14日土曜日

新しい生活

盲導犬協会からお手紙が届きました。
エレナの新しいご家族が決まったそうです。エレナと一緒に笑顔で写っている写真が同封されていました。
繁殖ボランティアさんから渡されたエレナバトンを、無事に次のボランティアさんに渡せました。エレナは最後の時を迎えるまで、そこで幸せに暮らしてゆくのだと思います。

キャリアチェンジになると聞いてからは、一日も早く犬舎から出て、新しい家族と暮らして欲しいと願っていたので、私は心からホッとしました。

私は『盲導犬候補』として、型にはめてエレナを見ていたかもしれません。
だけど、新しいご家族は、エレナをペットとして、エレナの良いところを私よりもずっとずっとたくさん見つけて下さると思います。

エレナが新しい部屋で安心してぐっっすり眠れますように。
ご家族とエレナのこれからの生活が、豊かで楽しいものでありますように。
心よりお祈りしています。

2013年9月2日月曜日

<< お別れ >>

2年近く、エレナを一緒に見守って頂いた方々へお知らせです。

エレナは9か月の訓練をした結果、初めて行く場所で緊張するので、盲導犬にはならず、一般のペットとして引き取られることが決まりました。
一般犬へのキャリアチェンジとなった犬は、九州盲導犬協会の規定で、重大な身体的理由がない限り、パピーウォーカーの元へは帰ってきません。キャリアチェンジに決まると、最後のお別れをする事ができます。会うと辛くなりそうだったので悩みましたが、いまはブラッキーが居てくれるので、勇気を出して会ってきました。


 エレナは大喜びで、私達が待つ部屋に飛び込んで来ました。人が大好きな犬ですから、誰にでも喜ぶんじゃないかな?と想像しますが、訓練士さんが言うには、私達の声が聞こえた時からソワソワしていたとか・・・。
リードを咥えて歩くエレナ

9か月前に別れたエレナは、足長スレンダーな体型でしたが、一回りも、二回りも大きくなっていて、今まで会ったことのあるどの犬よりも大きく見えました。

息子達は、あまりの大きさに怖がって、初めは近寄ることも出来ませんでした。

 体は大きくなったけど、表情はエレナそのもの。別れをしに行ったのに、9か月前と変わらずに喜んで笑っているエレナを見ていると涙が溢れてきました。
 「おかーしゃん、なんで泣いてるわんか?」って言いそうでしょ?

エレナの顔、
エレナの表情、
エレナそのものです。






甘えん坊で、寂しがりやで、食いしん坊で、いたずらっ子のエレナ。9か月も訓練したとは思えないほど、私達の前では変わっていませんでした。

もっとツンとおすまし顔で、他人行儀になってたら、お別れするのも寂しくなかったのにな。


エレナをお返しする前に、ブラッキーとの奇跡のツーショットを撮らせてもらいました。

「おとーしゃん、今度は黒のオスなんだわんね。」


エレナ、幸せになるんだよ。
いつも笑っていてね。

本音を言うと、協会から離れる時に犬舎から聞こえた吠え声が、「一緒に帰るんじゃないわんか?」って聞こえて辛かったです。でも、娘はエレナの声じゃないよって言ってくれました。
いつまでも、いつまでも忘れない。大好きだからね。


昨日はエレナの2回目のお誕生日。とても大切な日に会えたのは、最後のプレゼントかな。

エレナ、あなたはうちにいないけど、みんなでお祝いしたよ。エレナのとびきりの幸せを願って・・・。

うちに来てくれて、本当にありがとう。







お父さんが、帰り際にぽろっと「もののけ姫に出てくる山犬みたいやったね・・・」って。
あまりに的を射た表現に笑ってしまいました。

2013年6月26日水曜日

報告(6ヶ月)

協会での訓練が始まり、半年が過ぎました。エレナも1歳9ヶ月で、顔つきも3ヶ月前の訓練中のものとは違って見えます。


色白で足が長いのは相変わらずですが(*^_^*)。



担当者からお手紙です。
「エレナはマイペースですが、とても高い学習能力を持っています。最近は、給仕前に落ち着いて待機することや多頭の犬といっしょにいても私を選んで楽しくついて来ることができるように訓練を行っています。どちらかというと誘惑物に対する興味は強い方ですので、あえて気が散る環境での訓練をよく行っており、少しずつですが成長が見られています。
・・・自分で何をすればよいか考えるというところがまだまだ課題として残っています。エレナのモチベーションを高めるよう今後も焦らずに訓練を進めて行きたいと思いますので、引き続き温かく見守っていて下さい。・・・」

ブログを通して、小さい頃から見守って頂いた方には、私と同じ気持ちで報告を読んでもらえていると思います。
エレナの賢さ、性格については、私が思っているものと訓練士さんが書かれていることに差を感じないので、エレナはエレナらしく頑張っているのだろうと想像します。


訓練犬も電車などに乗る機会が与えられるようになったので、訓練の幅が広がっています。







電車では、ユーザーさんの足元で小さくなっているべきなのに、四肢や尻尾を投げ出して顔をあげて笑っているみたい。
この写真をみて、お父さんが
「楽しんどるなぁ」と苦笑していました。

エレナ、ごはんの前に大人しく待ってて褒められるのは、小さなパピーちゃんですよ。エレナはそのくらい、出来たでしょーーー!(-.-#)

2013年3月17日日曜日

報告(3ヶ月)

入学から3ヶ月が過ぎ、報告が送られてきました。

なんと、凛々しい、美しいエレナ!
って、PWバカ丸出しです(*^_^*)。

モデル候補犬だったら、合格間違いなしなんだけどな〜。
しかし、盲導犬になるのは簡単ではないようです。エレナの現在の様子は、

『エレナは元気に訓練に励んでいます。
最近では、「人の指示に従う」から「自分で何をすればよいか考える」のレベルの訓練をしています。・・・犬よりも人との関わりを教えていくことが盲導犬には必要ですが、エレナは犬と遊ぶことも大好きなので、犬よりも人と関わることが楽しいと思ってくれるようになることが今後の課題です。・・・エレナが自信を持つように訓練を進めていきます。今後も応援をよろしくお願いします。』

はい!もちろん応援し続けますよ!
落ち着いて指示に従うようになったようですが、まだ近くにいる犬の元へ走って行ったりすることがあるそうです(>_<)。エレナは、人と遊ぶのは好きでしたが、私について回るということもなく自立していて、自分の興味のある方向へ行ってしまうというのは、やっぱりね、という感想です。

訓練の過程で、エレナが【ハーネスつけたお仕事って、楽しいわん♪】って思えば、訓練士さんに釘付けになるだろうし、【わたしは自由なペットがいいわん♪】って思えば、違う道に進むのでしょう。

エレナが一番幸せになる方法を、訓練士さんが見極めてくれると信じています。
我が家の元気娘をよろしくお願いします。
兄弟犬、同期入学の訓練犬たちと。
みな、1歳のラブなのに(!)落ち着いていて、カメラ目線。
吠えたり、ウェイトができない、なんて犬がいないのは、さすがだなぁと感心します。
みーんな優秀で、みーんな可愛い候補犬たち!ずっと応援してるよー!

2013年1月21日月曜日

カレンダー2013 September

ジュリのブログにカレンダーのことを書いたので、こちらにも。
これは、関西盲導犬協会のカレンダーに投稿?したエレナの写真です。

エレナのパパは関西盲導犬協会の犬で、このカレンダーにパパ、ママ、兄弟犬たちが載っていたので、エレナも載せて(カレンダー代を含んで有料)もらいました。

大きい方がエレナで、丸顔のかわいい子がノア君です。

2013年1月18日金曜日

訓練犬エレナ

エレナ、入学から1ヶ月と16日。
協会の担当訓練士さんから近況報告と写真が届きました。
つぶらな瞳が相変わらず可愛いエレナです。目は生後50日と同じ・・・。今もまだ表情が幼いですね。

『・・・エレナは色々なものに好奇心旺盛で、入所当初は、犬や猫、落ちているオモチャに飛びついていましたが、現在は周りがどんな状況でも私に集中できるようになりつつあります。・・・元気にがんばっていますので、今後の成長を暖かく見守っていて下さい。』

犬舎から出してもらって、エレナがはしゃいでいる姿が想像できます。共同生活にも慣れて、持ち前の明るい性格が出ているのでしょう。訓練がすすむにつれ、ONとOFFの切り替えが出来るようになるといいな、と思います。

兄弟犬の男の子は、一段と大きく、凛々しくなっている気がします。みんなスタイルが良くてかっこいい!

突然の猫の写真。幼いエレナも同じポーズの写真がありました(*^_^*)。
エレナを送り出して寂しく過ごしていた我が家にニューフェイスがやってきました。『がじゅまる』君です。よろしくお願いします。

ペットの犬を飼うと、パピーウォーカーを続けることは出来ないし、猫がいてくれたら・・・と思っていたところ、今年のお正月に私達の前に現れ、ウチの子になりました。
ガリガリ痩せっぽち猫は、いまはお腹だけまん丸に変わりました。ノラ猫だったのに、人なつこく、子供が大好きで、爪は決して出しません。最近ようやく、じゃれて遊ぶようになったので、まだまだ猫を被ってるのかもしれませんね(猫だけにね(^^))。
昼間は一匹で寝ているのに、子供が家にいる時間は一緒に遊んでいます。息子達の勝負を見守るのも、エレナから選手交代。ちゃんと努めてますよ。
私がかつて拾った猫はみな偶然にトラ猫ちゃん。次は、白いソックスはいた猫ちゃんに出会いたいな。

*******

朝、薄暗いこともあって布団から出ようとしない息子を起こしていると、
「エレナがいたら、尻尾がバンバンぶつかる音がするんだけどなぁ〜」って。
しゃべらずとも、みんなが起きてくるのを体いっぱいで表現して、喜んで待っててくれたもんね。

エレナを送り出したあと、寂しく過ごしています。
専業主婦は、朝子供を送り出して、夕方帰宅するまで一言もしゃべらない日もあります。
そこに犬がいたら、返事はなくとも話しかけるし、いつも私を見つめてる黒い目があり、買い物から帰ってきても、待ってる存在がいるってあたたかいです。

「別れが辛いからPWは嫌だ」と考える愛犬家もいらっしゃると思います。
でも、15歳の愛犬を送りだした時の気持ちとは、まるで違います。ジュリもエレナも私の目の前にはいないけれど、バトンを渡した後も思い続けています。死別の悲しみではありません。
愛犬を自分の所有物にしたい方には向いてない役割でしょう。

でも、愛犬家こそ、犬をはじめとするペットと暮らすありがたみを知っているのではないでしょうか。
視力を失った人が、ペットを飼うこともままならなくても、盲導犬として訓練を受けた犬なら一緒に暮らすことができ、その人の支えになるのなら、十分に存在意義があると思います。
目の不自由な人に犬の世話なんて出来ない、と決めつけずに、周囲が見守って自立できるのが最良だと思います。

パピーを送り出すたびに辛い思いが残り、ぷち鬱状態になってしまいます。自分からは言い出せずにいると、夫から「犬が欲しいんやろ?申し込んだら?」って言ってもらえて免罪符をもらったような気になりました。

子供の頃は猫を拾ってきても、飼うかどうかの判断を下すのは親でした。いまは犬を飼うも、猫を拾うも、大人の私が決めることになるので責任重大です。

エレナを送りだしてすぐに、初めて育てたパピー、ジュリが盲導犬になったという知らせが舞い込み、ユーザーさんと話すこともできました。パピーウォーカーという役割を実感したのも、この時でした。
ジュリがパートナーを得た喜びと、貢献できた喜びとともに、なんだかジュリが私から完全に離れたようで寂しい気もしました。それは、エレナを手放した後の悲しみと相乗効果だったのかもしれません。

昨日、散歩でよくお会いしていた愛犬家の方にばったり会いました。いまは犬は居ないのか聞かれたので、私は、次のパピーウォーカーをするか悩んでいると話しました。
その方は「私は、自分が育てた犬が使役犬として働かされるのはたまらん。でも、あなたみたいな人がおらんと盲導犬はできんもんね。」とおっしゃいました。

いまは、やっぱり、犬がいる生活っていいな、と前向きに考えています。