繁殖ボランティアさんから付けてもらったエレナという名前の由来は、「エレーナのインコ」という絵本から。
心が優しく、困難を自分の力でのりこえて行く主人公エレーナのように育ってほしい、という願いが込められています。

2012年5月7日月曜日

ゆるすこと

もしほんとうに愛したいと願うなら
ゆるすことを知らなければなりません。

ちょっと真面目な話しをしますが、これは私が尊敬するマザー・テレサの言葉です。うちには、マザーの言葉を集めた日めくりカレンダーがあり、今日七日はこの言葉でした。1ヶ月で一回りするのですが、「子供を叱り過ぎちゃったな」とか「イライラしてるな」とか、その時その時の私の心に響きます。

エレナは8ヶ月になりました。リードを引っ張らずに散歩も出来るようになり、ケージでの留守番も上手になりました。ダウンをするとフードがもらえるという訓練も立派にこなします。

でも、一緒に暮らしていて、どうしても受け入れられないことがあります。
エレナは「自分が一番」なのです。
留守番は、もちろん大嫌い。
夕べも、子供達がゴミ出しの手伝いをしてくれて、玄関に一匹残されたエレナ。玄関のカーペットに大きなシミを作りました。ワンツーを覚えていないのではありません。自分を置いていった仕返しです。そんなエレナと対峙するたびに、自分が鍛えられている気がします(^^;)。「ゆるすことを知る」段階に到っていない私は、まだ「ゆるすことを学んで」います。
きっと「ノー」と叱ったところで、エレナが反省することはないでしょう。私が黙って拭いていると、エレナは影から覗いています。どう思っているのでしょうね。

どんな時でも「自分本位」なエレナを見て、家族は「盲導犬にはなれんやろ」と笑います。でも、いつも自分の頭で考え、教えられたことは応用できる。訓練士さんからは「頭が良い」とお墨付きをもらっています。このエレナをどう生かすかは訓練士さんの腕にかかっているのだと思います。
私はただ、エレナを健康に、人と関わることが好きになるよう育てるだけです。

1匹目のパピー、ジュリとエレナは全く性格が違います。同じ犬種で、これほどまでに?と思うほど。でも、どの子も、もし盲導犬になれたなら、お仕事を終えた時にウチに帰ってきて欲しいと願っています。

盲導犬はペットではありません。だからこそ余計に、その犬の命が尽きるまで責任を持ちたいと思います。

視覚障碍者が介助人に気兼ねすることなく、自立した生活をするために盲導犬を使います。道案内という役割以上に、目の見えない自分を必要とする存在は大きなものでしょう。犬の世話をする事も、籠もりがちな障碍者の生活リズムを作るのに役立つと思います。

今は困ったちゃんのエレナも、半年の訓練が済む頃には、見違えるようになっていることと思います。パピーウォーカーは、その犬と関わる期間があまりに短く、たった1年足らずの間に子供を育てるほどの愛情を注ぎます。

その子が、優秀でも、困ったちゃんでも、愛おしい存在に変わり有りません。

仕事を終えて帰ってくるのを指折り数えて待っています。

長崎で盗まれた盲導犬のパピーウォーカーさんも同じ気持ちだと思います。
失踪したかと思われた盲導犬は、人の手で大切に飼われていると聞きます。なぜか、どこからか、「元気にしています」と伝言が伝わってきます。

そして、パピーウォーカーさんも、迎えに行く準備が整っていると聞きます。協会は、逮捕者を出さないために警察への訴えを取り下げました。
可哀想な盲導犬を助けだしたはずの親切な方も、「返さない」では、誘拐犯になってしまいます。犬を愛するならば、ゆるすことを知ってください。犬の命は人間ほど長くはありません。一日でも多く、安心した日々を与えてあげてください。

8 件のコメント:

  1. 「自分が一番と思っている」とうちにいた仔も言われました(^_^;)
    何かやらかされる度に「これはゆずれない(ゆずってはいけない)事?
    受け入れないといけない事?」と自問自答していました。
    自分の対応の悪さで、よい子に育つ機会を奪ってしまったらどうしようって
    悩みました。
    そんな困ったちゃんも、今は元気に訓練に励んでいることでしょう。
    やれる事はやりました。
    人が大好きで、寝顔がかわいくて、賢い子に育ちました。
    元気に帰って行きました。
    でも、大変だった分心配もつきませんが・・・(^_^;


    本当に私達が関われるのはほんの一瞬ですね。
    でも、その子がその子らしく幸せに過ごすことをずっと祈ってます。
    そんな存在がいる事が生きる希望にもなります。
    だからこそ、長崎でいなくなった盲導犬の事を思うと
    つらい気持ちになります。
    どうか早くみつかりますように。

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    1. まりさんの「そんな存在がいる事が生きる希望にもなる」という言葉が胸に響きました。自分が「育ててあげてる」つもりでも、それが自分が生きていくエネルギーになっているんですね。
      底抜けに明るかったヴィントくん、犬舎ではどんな風に過ごしているのでしょうね。
      いろんな所が似ているエレナですが、寝顔はヴィント兄さんには及びません>^_^<

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  2. あーふぁがお世話して 今訓練中のトーマスも
    頭がよすぎて自己主張のおしっこが
    続きましたが実家を巣だって仲間ができると
    自己主張のやり方を考え直したようです
    今にして思えば、彼の個性でした
    がんばれエレナ&エレナファミリー

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    1. トーマスくんも、同じだったんですね!その名も「自己主張のおしっこ」!
      これからは、そう呼びます\(^O^)/
      こんな体験は初めてで、「私の対処が悪いのか」「バカにされているのか」と悩んだりもしました。犬も、そうやってコミュニケーションをとるんですね。勉強になりました。
      エレナも入学したら、友達にガウガウしたり、自己主張しすぎたりするのを控えるようになるかしら・・・。

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  3. 可愛い写真と平行して書かれた文章に
    なぜだか、我が家の子供たちの事を思い浮かべてしまいました。

    ゆるすって、時として難しい。
    お互い成長していかなくちゃ、
    そんな感じを持ちました。

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    1. 子育ても同じですよね。親として諭すべきなのか、許すべきなのか悩むときがあります。
      『親って忍耐だわ』といいつつ、子供が成長するにつれ、だんだんと母親が一番わがままになってきてる気もしますσ(^◇^;)。
      犬の場合は、1年で成犬になるので、昨日は5歳児並だったのに、今日は小学生みたい!なんて、スピードで成長します。だけど、短いながらも、ちゃんと反抗期や思春期があるんですよね。

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  4. お久しぶりです。
    盲導犬はペットではありませんね。
    でもエレナちゃんを一番にしてはいけませんね。(笑)
    そうして育てたら困ります。
    ゆるすこと、そうですね。でも考えてくださいね。
    視覚障害者の目となり心の支えになる盲導犬 視覚障害者の方の命も預かる犬を育てていると言う事。
    それは凄い事です。でも重大な事なのです。

    長崎で行方不明の盲導犬の話はどうなんだろうと思うばかり、もう今では
    ネット上では騒がない。
    ただネット上で騒いだばかりにこんなになったんだと思います。
    一日も早く見つかりますように・・・・・・。

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    1. コメントありがとうございます。Loveママさんの再開されたブログも楽しみに拝読しています。どうぞお体を大切にされてくださいね。

      エレナは反抗期を過ぎて、昨日は出来なかったことが今日は出来たり、昨日はわがまま放題だったのが今日はとってもお利口さんだったり・・・。日々、成長しているのがよく分かります。

      長崎の盲導犬を探しに、こちらのボランティアの方々が実際に長崎や佐賀を奔走されて、行動を開始されました。一日も早く、見つかるように祈っています。

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